ひよっこ散歩帖

ライトな書評・映画評・ドラマ評から、日々の雑感、ちょっぴり腰を据えて考えたことまで。自分の文章で、誰かの世界の見え方をちょっとでも変えられたら幸せです。

濱野智史『アーキテクチャの生態系』書評

非常に面白く、かつ体系的な日本情報社会論。いつかこういうものを書きたい、と強く思った。まさに、ビジネス・テクノロジーと人文知の接続。

 

ここで取り上げられている事象自体はかなり古いし、未来予測も外れているところが多い。

けどこの本には普遍性を感じる。なぜなら、人文知に裏付けされており、あくまでも大きな潮流の一事例として各ウェブサービスを論じているから。

この視点はかなり学ばされたし、自分も忘れずに持っていたい。

 

また、最近は人文領域からこうした論考が出ていないのも気になった。GAFAについての論考はビジネス書ばかりで、人文学はステレオタイプなテクノファビア的反応しかできていない。(インターネットが、“オタク”のものから“リア充”のものに変わったことも関係している?)

本書のようなキレのある論考がもっと出てくるべきだし、自分もその担い手になりたい。

朝倉祐介『ファイナンス思考』書評

仕事での必要性もあり、読んだ。

朝倉氏の紡ぎ出すひとつのエッセイのように、流れるように読めた。

内容はどれも納得のいく話ばかり。

 

個人的にはこのファイナンス思考、人の生き方にも当てはめてみるともっと面白いのかなと思った。

千葉雅也『思弁的実在論と現代について:千葉雅也対談集』書評

前半はとにかく難しかった。哲学的知識が豊富な人向けに、専門用語がバンバン使われており、ほとんど理解できず...もっと勉強しようと思った。

 

後半は対談相手が非哲学者ということもあり、比較的読みやすかった。

 

内容とは全く関係ないが、千葉さんのような博覧強記の学者の考えていることを、後半くらいのわかりやすさで、なんとか一般人にも流布したいと思った。

石黒圭『文章予測ー読解力の鍛え方』書評

勉強のために読んだ。

かなり良書。

 

問いの予測と答えの予測。(前者がメイン。後者はテクニカル。)

深める予測と進める予測。

フォルダ作り。

 

これらをいかに使い分けるかが、良い文章のカギ。

もちろん、実際に書いて編集してもらって編集して...を繰り返さないことには身につかないとも思うので、精進するのみ。

とはいえ、たまにはこういう本読むのも悪くないかなと思った。

文例読むの、ちょっとしんどかったけど...

 

あと副次的だけど、文例の太宰の文章読んで、文学的文章への欲求が呼び覚まされた。ある種のデトックスとして、純文学も読んでいきたい。

磯崎哲也『起業のファイナンス』書評

この前読んだもの。

 

前半部は、ベンチャー起業家・投資家・VCが何を考えているのか、簡単な専門用語と共に学べて良かった。断片的だった知識が整理されていく感覚が心地良い。

 

後半部は、やや専門的で、実際に業務で使う人以外は流し読みでいい気がした。

 

伊藤穰一『教養としてのテクノロジー』書評

基本的なことが書かれていて、真新しい論点はなかった印象。

アンスクーリングの概念や、日本人がスケールを志向しない話などは興味深かった。

伊藤さんのがっつり書いた本も読んでみたい。

大澤真幸・見田宗介『二千年紀の社会と思想』書評

わりとライト目な対談本だと思って手に取ったら、そこそこライトだがそこそこ重かった。

 

大澤真幸見田宗介の互いにリスペクトしあう師弟関係が心地良い。

テーマとしては震災がメインなので時勢には載っていないが、2人の思考のエッセンスが凝縮されている。

もっと勉強しなくては、と思わされた。

とりあえず『時間の比較社会学』読みたい。

 

あと本筋とはずれるが、最後の大澤真幸の論考だけ対談書き起こし形式じゃなくて、それがすごく読みやすかったのが印象に残った。対談部分もかなり綺麗に構成されてはいたのだが、やはりカチッとしたロジックは地の文のほうが遥かに咀嚼しやすい。

ロジカルな対談を書けるようになりたいな、と思った。