ひよっこ散歩帖

ライトな書評・映画評・ドラマ評から、日々の雑感、ちょっぴり腰を据えて考えたことまで。自分の文章で、誰かの世界の見え方をちょっとでも変えられたら幸せです。

庵野秀明『シン・ゴジラ』映画評

今年一発目の映画として、シン・ゴジラを観ました。

公開時に劇場では観たのですが、もうある程度内容は忘れていたので、それなりに新鮮な気持ちで楽しめました。 

 

なぜこのタイミングでシン・ゴジラを観返したのか

このタイミングで見返した理由は二つ。

 

一つは、宇野常寛著の『母性のディストピア』でかなり特別な位置を占める作品としてこのシン・ゴジラが語られていたから。

この本は昨年読んだ本の中でも最も影響力を受けた本のひとつなので、是非読まれることをお薦めします。

https://www.amazon.co.jp/%E6%AF%8D%E6%80%A7%E3%81%AE%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%94%E3%82%A2-%E5%AE%87%E9%87%8E-%E5%B8%B8%E5%AF%9B/dp/4087711196

 

そしてもう一つは、昨夜実家でたまたま『都庁爆破!』というあり得ないほどC級のドラマを観たから。

キャストやテーマがシン・ゴジラに近く、少しだけ期待して観たのですが、まーーー酷いドラマでした。Twitterでもトレンド入りしていましたね。笑

コメディとして観る分には別の意味で面白いですが、ポリティカル・フィクションとしては目も当てられないレベル。

これを観てしまった反動で、ポリティカル・フィクションとしてかなり完成度が高かったシン・ゴジラを観返したい衝動に駆られたのです。

www.tbs.co.jp

 

 

観返した感想

さて、肝心の観た感想ですが、「素晴らしい」の一言に尽きました。

『母性のディストピア』の焼き直しにもなってしまいますが、観て思ったことは以下の通りです。

  • 「政治と文学」の「文学」を徹底的に排除することで、ポリティカル・フィクションとして未曾有の完成度を実現している点。官僚の意思決定プロセスが非常に精緻に描かれています。
  • 「虚構にしか描けない現実がある」という、「ゴジラの命題」(『母性のディストピア』参照)に真正面から取り組んでいる点。第一形態のゴジラが上陸して街を駆け巡るシーンなどは、何度観ても鳥肌モノです。
  • 高橋一生をはじめとした特別チームの面々がやはりカッコいい。オタク的感性と知性は非常に相関性があります。『母性のディストピア』でも、宇野常寛氏はこの高橋一生的なキャラクターに希望を見出しています。

 

『母性のディストピア』でも触れられていますが、現代日本も3.11の際にこのシンゴジラで描かれているように「スクラップ&ビルド」されていなければいけなかった、その思いを強めました。

新年一作目にシン・ゴジラを選んで正解でした。

また、シン・ゴジラ同様ポリティカル・フィクションとしての完成度が高いと言われている初代ゴジラも、なんだかんだ観たことないので観てみたいです。