ひよっこ散歩帖

ライトな書評・映画評・ドラマ評から、ちょっぴり腰を据えて考えたことまで。自分の文章で、誰かの世界の見え方をちょっとでも変えられたら幸せです。

柴那典『ヒットの崩壊』書評

宇野常寛氏との対談、『渋谷音楽図鑑』などで前々から気になってはいた柴氏の代表作。

 

・90年代的「ヒット」がどんなものだったのか

・今それがどのように崩れていっているのか

・そしてその次に来るものは何か

ということが、小室哲哉水野良樹をはじめとした音楽業界の著名人へのインタビュー、そして統計的データをもとに考察されている。

 

大きな論点としては二点。

 

まずは、音楽を楽しむ形態の話。

「CD」から「フェス」へ=「情報」から「体験」へ=「他人の物語」から「自分の物語」へ、という大きな変化が、豊富な例を用いて考察されている。

 

そして、音楽の中身の話。

洋楽コンプレックスから、JPOPを基礎にしたJPOP・ミクスチャー的なポップへ。

こちらも興味深かった。

 

音楽業界に関わる者だけではなく、何かを企画・生産して世の中を変えようと思っている人は必読の書だと思う。

宇野常寛氏もよく言っているが、この「情報から体験へ」という流れは、音楽だけでなくあらゆる領域で起きている変化である。

その変化をきちんと捉える第一歩として、音楽領域で起きていることが精緻に考察されている良書である。