ひよっこ散歩帖

ライトな書評・映画評・ドラマ評から、日々の雑感、ちょっぴり腰を据えて考えたことまで。自分の文章で、誰かの世界の見え方をちょっとでも変えられたら幸せです。

宮台真司・二村ヒトシ『どうすれば愛しあえるの』書評

 

最近話題のこの本を読んでみた。

 

元々書店などで目に入って何となく気になってはいたのだが、最近宮台真司の『終わりなき日常を生きろ』を読んだ際に、「終わりなき日常」への処方箋として「性愛」が引き合いに出されていたことに興味を持ち、似たようなテーマを扱っている宮台の著作に触れてみたいという目的で読んだ。

hiyokko-sanpocho.hatenablog.jp

 

 

さて、本の中身だが、AV監督の二村ヒトシと宮台が性愛について語り合った対談が収録されている。

対談ゆえに情報がちぐはぐで読みにくいところも多分にはあったのだが、なかなか楽しい本だった。

 

まず、宮台にとって「性愛」というものが30年以上前からずっと一大研究テーマであり続けた、ということがよくわかった。「性愛」に関して、知識量もそうだし、蓄積された思考の量も桁違いだと感じた。

 

論じられている内容だが、ざっくり要約すると以下のようになる。

  • 性愛の享楽というものは、本来「社会」の外部に存在していた。
  • しかしここ20年ほどでその図式が根本的に崩れてきてしまい、性的退却が進行している。
  • このままでは人間は代替可能な自動機械になってしまうので、社会の外側での性愛というものを取り戻すべき
  • そのためには、近年蔓延る「フェチ系」のセックスではなく、「変奏」を感じる「ダイヴ系」のセックスが求められる

 

30年前まで当たり前のように存在していた「社会の外部にある性愛」は非常に興味深かったし、そうした性愛の変化を社会の変化と見事に結び付けて論じていたのは流石としか言いようがなかった。

宮台の性愛に関するまとまった論考も是非読んでみたいと思った。

とりあえず、古典と言われる『制服少女たちの選択』は読んでおきたい。

 

ただ、これはあくまでも肌感だが、「昔イケイケだったおっさんの『近頃の若い者は~』トークを、社会学や思想の言葉で虚飾しただけなんじゃないの?」感がどうしても拭い切れなかった。

自分の方にもバイアスはかかっているのかもしれないが、そこだけ残念だった。