ひよっこ散歩帖

ライトな書評・映画評・ドラマ評から、日々の雑感、ちょっぴり腰を据えて考えたことまで。自分の文章で、誰かの世界の見え方をちょっとでも変えられたら幸せです。

千葉雅也『メイキング・オブ・勉強の哲学』書評

昨年4月に刊行された名著『勉強の哲学』の副読本が出たので、読んでみた。

そもそも『勉強の哲学』は昨年自分が読んだ本の中で最も印象に残った本で、3回くらい再読したくらいなので、その副読本が出たということで迷わず購入。

 

 

サクッと通読でき、とても楽しかった。

この本を読むことで、『勉強の哲学』の内容の復習になり、理解が深まった。

簡潔に要点がまとめられているので、『勉強の哲学』を読んだ直後に読めばかなり本の内容が定着するだろう。

執筆の背景なども詳しく説明されているので、『勉強の哲学』の内容がよりビビッドに感じられるはずだ。

著者の千葉雅也氏が実際にどのようにアウトライナーや紙のノートを使って『勉強の哲学』を作っていったのかがわかるので、どのように「勉強」を実践すればいいのかのイメージもわくと思う。

 

 

さらに、「有限性」という概念への興味も喚起された。

結局、アウトライナーも紙のノートも「有限性」を獲得するために使うツールであるということが理解できたし、仕事でタスクがたまるとどこかにタスクを書き出したくなるのも「有限性」への欲望ゆえのことなのだと納得した。

また、少し話はそれるが、紙の本が「有限性」が極端に強い単機能デバイスであるという点も興味深かった。

自分の紙の本へのフェティシズムは、強い「有限性」ゆえの安心感=「社会」から距離をとれる感覚なのかな、とも思った。

接続過多な時代だからこそ「有限性」が大切だという主張からは、デジタルデトックスという概念も想起した。

この「有限性」というキーワードは、現代社会を生き抜いていくうえでひとつの重要な要素なのかもしれない。